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長崎の「びわゼリー」は桃鉄で最も食べてみたい物件だった。桃鉄グルメぐり~長崎編~

   

ボンビ~!長崎駅に一番乗りした直後に「うんちカード」で閉じ込められる「あきひと社長」です。

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長崎はおいしい物件ばかり。目的地に一番乗りして援助金をもらっても、ぜんぶ使い果たしてしまうのだ。しかし、長崎のまわりは一方通行の赤マス地獄。赤マスにハマればお金をとられてしまうわけだが、現金が足りずに即借金。買ったばかりの長崎の物件をぜんぶ売り飛ばしたあげく「わが社には売るものがありませんぞ!」と言われるのがお約束。

長崎といえば、何と言っても「びわゼリー屋」だろう。

桃鉄シリーズではおなじみの「食品日本一」というイベントで臨時収入が手に入りまくる、まさにおいしい物件なのだ。短期決戦の場合、この物件を手にするか否かで勝敗が分かれるといっても過言ではない。だから無理して買ってしまうわけだが……。

博多編と同じく、桃鉄の開発者である「さくまあきら」氏の証言を探ってみる。すると、元ネタは「茂木一まる香本家」の「茂木ビワゼリー」とのこと。

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数ある物件の中でも、このゼリーをみんなに食べてもらいたくて、しつこく臨時収入の確率を高くし続けたそう。これは行ってみなければ。

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ちゅるちゅるとぅるん。

贅沢にもビワがまるごとひとつ入っている。1個300円もするので、ひとくちで食べてしまうのはもったいないのだが、贅沢なのどごしが、たまらなくてまた、ちゅるちゅるとぅるん。

あの桃鉄の「びわゼリー屋」だよ!と言いたくて、お土産に買ったぶんまで、ちゅるちゅるとぅるん。おひとつ持ち帰って冷やしたらまた、ちゅるちゅるとぅるん。

気がつけばとぅるんと平らげてしまっていた。今の時代、インターネットでも買えるわけだが、長崎で食べることに意味があるのである。

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横浜で暮らしているぼくにとって、長崎ははじめて来た気がしない。神戸や函館もそうだが港町はどこも街の構成が似ているのだ。そのひとつが「中華街」の存在である。

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しかし、有名な「ちゃんぽん屋」が中華料理屋ばかりであることには驚いた。「四海楼」「宝来軒」「天天有」といった具合である。

ちゃんぽんは中華料理なのか? 聞いてみると、あくまで長崎の郷土料理ではあるのだが、安くて栄養たっぷりな賄い料理として中華街で生まれたそうだ。明治期に訪れていた中国人留学生や湾岸労働者のためにである。横浜でいうサンマーメンのようなものかもしれない。

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ぼくが訪れたのは「江山楼」。この店は、なんといってもスープが違う。

ミルクのようになめらかでクリーミィ。「濃厚」とは、ただ味が濃いことを指すのではない。むしろ、厚み。幾重にも重ねられた重奏的なハーモニーのことを指すのだ。あまりの調和に味の因数分解ができない。重層的にとろけあったダシ。絵の具ならドス黒くなるところだが、この完璧な白。

「完璧な調和」とは、このスープのようなことを指すのだ。

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「ちゃんぽん屋」を手に入れた!

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続いて、「皿うどん屋」に向かう。こちらも中華料理屋である。皿うどんといえば、パリパリ麺のあの食感!を思い浮かべた、あなたは驚く。

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皿うどんの元となった発想は「汁なしちゃんぽん」。出前用に汁がこぼれないようアレンジしたものであり、その名残を味わえるのが本場長崎なのだ。

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見よ、この堂々たるちゃんぽん麺を。ガツンとウマイ。長崎に来たならパリパリ麺だけでなく、元来の皿うどんも食べてみてはいかがだろうか。

「皿うどん屋」を手に入れた!

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長崎のカステラ屋といえば、元祖「福砂屋」。

長崎のカステラは底にあるザラメが特徴と言われる。そのザラリと甘い舌あたりは、カステラという金の鉱脈からダイアモンドを掘り当てたような喜びがある。ちなみに、さくま氏がオススメするカステラは、「松翁軒」のチョコラーテとのこと。

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「カステラ屋」を手に入れた!

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からすみ、それは日本三大珍味の中でも最も高価と言われる高級食材。長崎ではボラという魚の卵巣を塩漬けにして乾燥させている。安土桃山時代に中国から長崎に伝来したそう。

「からすみ屋」を手に入れた!

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しっぽく料理は、中国人が日本人やオランダ人をもてなすために作った料理。現在では和風化が進んでいるが、大皿に盛られたコース料理を円卓を囲んで味わうスタイルは中華そのもの。

「しっぽく料理屋」を手に入れた!

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ちゃんぽんと皿うどん、カステラ、からすみ、しっぽく料理。鎖国下においても異文化を受け入れてきた長崎ならではの食文化である。とくに中華料理の影響たるや。そういった気づきを得られるのもまた桃鉄の魅力である。

「中華飯店」を手に入れた!

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社長!これで長崎の物件はすべてわが社のものとなりましたぞ!

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ちなみに、ぼくが長崎の物件に新しく加えるとしたら「ミルクセーキ」。

セーキとは「shake」であり、ようはミルクシェイクである。牛乳に砂糖と卵黄とバニラを加えてシェイクしたものが多く、実に懐かしい味がする。

しかし、長崎のミルクセーキは一味違う。

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シャリシャリのフローズン。食べるミルクセーキなのである。上品な甘みがすっきりと心地よく、口の中が洗われるようでもある。食後にぜひ味わってみてほしい逸品である。

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佐世保駅にも行ってみた。

「桃鉄3」で佐世保といえば「造船所」。日本の端っこに船をつくってる街があるんだ!サセボって名前もカッコいいなぁ!なんて子供心に憧れたものである。

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実際に訪れてみると、大人になってしまった心も、決して裏切らないカッコよさ。職員の方たちが自転車を使っているほど広大な敷地と巨大な造船ドック。いまだ現役である。

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しかも、その光景がバイパスから間近に見えるのだ。今となってはなかなか見られない絶景ではないだろうか。

しかし、2001年に発売された「桃鉄10」の佐世保駅には「ヨーロッパ村」と「ハウスヨーロッパ」の2つの物件しかない。1994年に発売された「桃鉄3」には「造船所」に加えて「炭鉱」という物件もあったのだが、これは時代の変化によるものだろう。

ヨーロッパ村はオランダ村。ハウスヨーロッパはハウステンボスのことだと想像がつく。どちらも高額物件にしては利益率も低く、終盤までスルーされがちな物件である。

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かつては経営破綻したハウステンボスだが、現在では再建を果たしている。TDLやUSJと比較するのは酷だが、夜景だけは一見の価値がある。

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ハウステンボスより古くからあるオランダ村も経営破綻。マネーの虎で有名な「小林敬」氏によって再建が図られたが半年で破産。以後、一部を市役所としながら再建が試みられたが、ついに2016年4月「ポートホールン長崎」がオープンした。

27念のためナンバーにモザイク処理していただけますか

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ちなみに「桃鉄11」以降は、この「ヨーロッパ村」つまりオランダ村の物件も抹消されていた。

まもなく発売される新作「桃太郎電鉄2017 たちあがれ日本!!」では佐世保の物件はどう変わっているだろう。それを想像するのもまた桃鉄の楽しみである。

 

次の目的地は「宮崎」です!

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