TRAVERING

なぜ旅に出るのか?そこに地球があるからさ。

人生の100のリスト/ロバート・ハリス

   

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100のリストは、人生のシナリオ。

この本に出会う前から100のリストは作っていたが、旅人に転職したばかりの今というタイミングで読めたことがうれしい。青木優さんのブログだったか、どこかWEBの媒体でリストを作るというアイデアを知って実行したわけだが、ハリスさんは50年も前の19歳の頃から、このアイデアに自分でたどり着き、実行していたのだと思うと頭があがらない。
ハリスさんも書かれていたが、リストに縛られては意味がない。あくまで、そのときやりたいと思ったことをやる。やりきって振り返ってみればリストに書いていたことに気づく、それぐらいが理想だ。しかし、自分の物語を生きようと思ったそのとき、一度、リストとして書いてみることこそが重要なのだ。それは、ほんとうにそう思う。

 

人は一度逃げ出すと、一生逃げ続けなくてはならない。

これは旅人にもあてはまる言葉かもしれない。日本から離れ、長いあいだ海外で生活をしていると、「帰っていく場所」がなくなってしまう感覚はぼくもわかる。親が転勤族だったせいで、故郷がないぼくは日本にいても同じ感覚がある。「不思議な浮遊感が心の中に芽生え、次はどこへ、次はどこへと、まるで逃亡者のような心持ちで人生を歩んでいくことになる」というのもわかる。だからこそ、ハリスさんの次の言葉に胸が鳴る。「でも、逃亡者の人生は人生で捨てたものではない。そこには定住者にはない、選択の自由、行動の自由というものが、常に可能性として存在しているからだ。ぼくが長い海外生活で得た一番の宝は、まさにこの気持ちの自由ではないだろうかと思う。そしてこの気持ちがあるかぎり、ぼくは旅人でいつづけることができると信じている」。幼い頃から引越しを繰り返してきたという過去も、旅人になるべくして経た過去として、自分で自分をおもしろがってるぼくがいる。

 

エッセイとしても読めるこの本はハウツー本ではない。

オーストラリアの空気は「Take it easy.〜楽しく、呑気にやっていこうぜ〜」。日本のような「頑張り」を美徳とするのではなく、ゆるさ加減や、いい加減さがハリスさんにはピッタリ合っていたという。ぼくも東京は少し生き苦しい。日本の島、たとえば小笠原や与論が合っていると今は思う。
ノンフィクションを経て、小説家も書いているハリスさん。ぼくも同じ道を歩みたいと思う。ハリスさんにはこんな感覚があったという。「主人公の旅人が目的の地に向かってひとりでに歩き出した。ぼくはなるべく邪魔にならないようにあとについていけばいいのだ。
ピーチとアンチョビの話、そして、ヌードモデルになる話には、電車の中で読んでいたが吹き出した。100のリストを考えたい人も、すでに一度考えたことがある人も、読んでみることをオススメする。

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