TRAVERING

なぜ旅に出るのか?そこに地球があるからさ。

アフォリズム/ロバート・ハリス

      2016/04/14

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人生とは君が他のプランを立てるのに忙しい間に起こるそれ、だよ。
Life is what happens to you while you’re busy making other plans.

「生きてる!」という実感は、旅の途中で、それも目的地に向かう途中でよく起きる。文化祭の準備が本番より面白いというのと似ているかもしれない。

最高のロマンスは経験しなかったロマンスさ。
The best love affairs are those we never had.

すべての欲望は「ないものねだり」。恋愛マンガに憧れるのも同じこと。風早くんなんて絶対に実在しない。

テーブルを見渡してみろ。もしカモが見当たらなかったら、席を立て。お前がカモだ。
Look around the table. If you don’t see a sucker, get up, because you’re the sucker.

麻雀にハマっていた過去にこの格言と出会っていれば、と悔やまれる。たとえ負けても去り際は美しくありたいものだ。

男の顔は彼の自伝である。女の顔は彼女の作り話である。
I like men who have future and women who have past.

安穏と主婦してる女性はシワもなくキレイだけど顔が緩んでいがち。農業をしてるような女性はシワが刻まれていても引き締まって見える、とぼくは思う。

女性がいなかったら男は今ごろどうなってただろうかって?エデンの園で西瓜を食べながら気楽にやってたさ。
Where would man be today if it weren’t for women? In the Garden of Eden eating watermelon and taking it easy.

ハリスさんも書いていたが「気楽にやってた」というところがいいな。そりゃあ「男は大人のフリした少年であり、女は少女のフリした大人である」なんて格言もあるぐらいだし。

女性が初心者のようにキスするには、ものすごい経験が必要よ。
It takes a lot of experience for a girl to kiss like a beginner.

「男がこなれたキスをするには、ものすごい女性による教育が必要だ」と言い返したくなる。しょせん男は女にかなわない。

宣教師達がアフリカにやって来た時、彼らはバイブルを手に持ち、我々は土地を持っていた。彼等は「祈りましょう」と言い、我々は目を閉じた。目を開けた時、我々がバイブルを手に持ち、彼等が土地を持っていた。

英語は略させてもらう。宗教にはなぜ「勧誘」というミッションがあるのか不思議だった。自分さえ救われてればいいじゃないか、必要になれば勧誘などされなくてもこっちから救いを求めるさ、と思っていたが、こういう理由だとすると納得だ。

目には目を、は世界中を盲目にする。
An eye for an eye makes the whole world blind.

有名な格言を踏み台にした格言集があっても面白いと思わされる逸品。

ヒトラーがドイツでやった全ての行為は法的だったことを決して忘れてはいけない。
Never forget that everything Hitler did in Germany was legal.

キング牧師が言った言葉。「法的」ではなく「合法」と訳したくなるが、人はなぜ他人がつくった法律を正しいだなんて信じられるのか。法律より、それぞれの正義で平和が守れたら理想だが、それはそれで空論か。

ぼくは別に来世を信じているわけじゃないけど、着替え用の下着は一応持っていこうと思ってるんだ。
I don’t believe in the afterlife, although I am bringing a change of underwear.

ウディ・アレンのセンスが欲しい。ユーモアのお手本のような人だ。こういうことをサラリと言いたい。女性にはモテないだろうけど。

死んだ後、あなたは生まれる前の自分に戻っている。
After your death you will be what you were before your birth.

そうだったらいいなぁと思う。生まれ変わってもまた同じ人生を歩みたい、そう言えるような人生を歩んでいきたい。

腹を空かした犬を拾い、裕福にさせてやったら、そいつは絶対にあなたを噛まない。これが犬と人間の根本的な違いだ。
If you pick up a starving dog and make him prosperous, he will not bite you. This is the principal difference between a dog and a man.

世の社長たちが自分を皮肉って言いそうだ。恋愛に関しても当てはまるかもしれない。

自分で割った薪はあなたを倍、温めてくれる。
Chop your own wood, and it will warm you twice.

「楽しみは買える。喜びは買えない」と、紀里谷和明氏が言っていた。一流レストランの料理や、一流建築家の家より、不器用でも自分でつくったもののほうが喜びを感じられるはずだ。

自分の収入以内で生活している人は想像力が欠如しているね。
Anyone who Lives within their means suffers from a lack of imagination.

オスカー・ワイルドの名言。この人の本は読んでみたい。その日暮らしをする勇気はぼくにもないのだが、貯金が0円なら毎日をどれだけ創造的に生きられるだろうと夢想する。大企業に勤めているようなサラリーマンはまさに想像力が欠如していると思う。

真の会話術とはただ正しい場所で正しいことを言うだけでなく、言ってはいけないことを最も言いたい時に言わないこと。
The real art of conversation is not only to say the right thing in the right place but to leave unsaid the wrong thing at the tempting moment.

3秒ガマンすればいいだけの話なのに言ってしまう。年を重ねるたびに、コントロールできるようになってきたが、まだまだ言ってはいけないことを言ってしまっていると思う。

鳥はその足でつまづき、人はその舌でつまづく。
Birds are entangled by their feet and men by their tongues.

レトリック。「蜂はその針で刺し、人はその格言で刺す」なんてね。

もし心の奥底で「お前は絵を描けない」という声が聞こえたら、大いに描くんだ。声は必ず消えるから。
If you hear a voice within you say “you cannot paint”, then by all means paint, and that voice will be silenced.

ゴッホの言葉。死後評価されたという彼だからこそ、この言葉が重く胸に刺さるのだ。

私と狂人との違いは一つしかない。狂人は自分が正気だと思っている。私は自分が狂っていると自覚している。
There is only one difference between a madman and me. The madman thinks he is sane. I know I an mad.
私はドラッグはやらない。私がドラッグだ。
I don’t do drugs. I am drugs.
私は変ではない。ノーマルではないだけだ。
I am not strange. I am just not normal.

3連続でサルバトール・ダリ。奇人変人と言われているが、芸術家にしては珍しく最初の妻と離婚することなく寄り添い、彼女が亡くなった時には「自分の人生の舵を失った」と激しく落ち込み、絵も描かなくなってしまったという。根は常識人なのに、芸術家として狂人を演じていたダリがぼくは好きだ。

誰も自由じゃない。鳥達だって空に繋がれているんだ。
No one is free, even the birds are chained to the sky.

「空に繋がれている」このような言葉の裏切りはなかなか思いつけるものじゃない。こういうことを常識に繋がれているというのだろう。

優れた旅人は自分がどこへ向かっているのか分からない。完璧な旅人は自分がどこから来たのか分からない。
A good travelers is one who does not know where he is going to, and a perfect traveler does not know where he came from.

前者はあっても、後者の域に達したことはない。旅人として少し憧れる。

旅をしていない者には人間の価値が分からない。
He who has not traveled does not know the value of men.

アラブのことわざだという。アラブの人たちは旅人のぼくに本当によくしてくれた。彼らもやはり旅をよくするのかもしれない。とかくメッカ巡礼ばかり取り上げられるが、彼らは普段から旅をしていて、その集大成としてメッカがあるのだろう。

己を失わない限り、己を発見する希望は持てない。
Until we lose ourselves, there is no hope of finding ourselves.

我を忘れるほどの仕事、恋、旅。そこに、成長という希望があるのかもしれない。失敗は成功のもと、という話だが言い回しを変えるだけで新しく聞こえるのがアフォリズム(格言)。

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この本には、ぜんぶで525ものアフォリズムが詰まっている。コピーライターとしてはレトリックとして逆説的に表現する訓練になる。ハリスさんも書いていたが、それはこういうことだ。

・良いお手本こそがいちばんの説教である。
・良いお手本ほどこの世で耐え難いものはない。

・早寝早起きは人を健康、裕福、賢明にする。
・健康を保つ唯一の方法は、食べたくないものを食べ、嫌いなものを飲み、したくないことをすることだ。

それぞれ前者と後者とどちらがより印象的か。同じことを言っていても、ぐっとくる感触が違うのが面白い。

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