TRAVERING

なぜ旅に出るのか?そこに地球があるからさ。

世界を50年間も放浪し続け学んだCOOLで自由な人生哲学/ロバート・ハリス

      2015/10/15

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旅祭というイベントで、ロバート・ハリスさんにお会いすることができました。紹介してくれた方のおかげで、ゆっくりとお話を聞かせていただけて、ぼくも大ファンになりました。そのときサインをいただいたのがこの本。読んでみると、胸に刺さる人生哲学がいっぱいでした。実際のハリスさんは、ほんっとうにカッコよくて、ぼくもハリスさんのような大人になりたいと心から思った。

 

僕は自分の人生を物語と捉えて生きるようにしてきた。
人間って、自分のイメージやペルソナに囚われてしまったら、もう終わりだぜ。「僕はこういう人間だから」とか、「私はこういうことはしない人間ですから」と言う人をよく見かけるけど、そうやって決めつけちゃうのはどうかなと思う。

ぼくは人生の選択肢が目の前に現れたとき、「どっちを選ぶ自分がカッコイイか」という視点で選んできました。客観的になれるというのもあるけど、振り返った時に自伝になるような、物語のある人生を生きたいと思うから。それをぼくは「文脈のある人生」と言ってきました。ただ、ぼくの場合は「僕はこういう人間だから」と選択肢から身を退くことは結構あった。「ダンスなんて柄じゃないからぼくは遠慮しとくよ」とか思っちゃったりして。でも、心のどこかで思っていました。そこでバッと踊れたらどんなにカッコイイだろうかと。「ハジける」には恥が入ってる。恥を捨ててチャレンジを続けることが「ハジける」なのかもしれない。

 

人生もこれと同じさ。
旅先では自分が東大を卒業したとか、なになに商事の課長代理だとか、偏差値がいくつだとか、田園調布に一軒家を持っているとか、そういうことは何の意味も持たなくなるんだよね。重要なのは、自分がフレンドリーでオープンでちゃんと人とコミュニケーションが取れる人間なのかどうか。旅人は社会的な鎧を脱ぎ捨て、裸の自分で勝負しないといけないんだよね。

旅人なら身に覚えのあることかもしれません。ぼくも以前、TravelersBoxの記事でも書いたことがあります。でも、ぼくはあくまで「旅スキル」として、旅の中でのこととしか考えられていませんでした。でも、ハリスさんの言うように、日本でも、人生でも、同じことが言えるのかもしれません。オープンでちゃんと人とコミュニケーションが取れる人間なのかどうか。ハリスさんはまさにそういう方だった。無名のぼくでも、高橋歩さんや本田直之さんといった有名な人でも、誰が相手でも変わらずオープンに接してくれる。ハリスさんに感じた一番の魅力はぼくにとってそこでした。

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ニコニコ楽しそうな顔をしていると、人って不思議と寄ってくるものなんだよね。
オープンになるって、まずは人の話を聞くことなんだ。人の話を聞いて、相槌を打ったり、笑ったり、感心したり、共鳴したり。そして、それを受けて自分の話をして、少しずつ、会話のキャッチボールをすることさ。このキャッチボールを楽しめるようになったら、もうこっちのもんだぜ。別に面白い人間になろうとか、面白いことを話そうなんて思わなくていいんだ。いい感じに言葉のキャッチボールをしていれば、自然と面白いことを言ったり、深い話が出来るようになるものなんだ。後はフォローするだけだよね。僕は、この人ともっと会って親しくなりたいなと思ったら、自分から積極的にアプローチするようにしている。押しつけがましくならない程度にね。

ハリスさんの言葉に救われました。ぼくは面白い人間にならなきゃ、面白いことを話さなきゃ、と思い込んでしまっていた。それで苦しんでもきた。でも、いいんだ。最初は聞いて、少しずつ自分の話を挟んでいけたらそれでいいんだ。ハリスさんですらそうなんだ、と、こうしてお会いしたことのある人の本を読むと、人が見えるというか、言葉に人柄という重みが加わって、スッと頭に入ってくるし、すごく伝わってくる。

 

女を理解出来るなんて思わないことだ。
女にフラれたら、未練がましいことをしたり、何とかヨリを戻そうとジタバタしたりしないで、ただ悲しむことに専念することだ。

ほんとうにそうだと思います。ぼくはある女性にフラれたとき、彼女の気持ちを言語化しようと質問攻めにしたことがありました。何を聞いても「なんとなく」程度の答えしか返ってこなくて、さらに攻めました。それから時間が経って学んだ気がするのです。女の気持ちを分かろうだなんて無理。サッパリあきらめたというほうが正しい。女はどこまでいっても別の生き物なのだ。フラれたら、「あ、そう。これまでありがとう」と言って去る。男にできることはそれしかないし、それでいいのだ。

 

数あるハリスさんの書籍の中でも、最初に読んだのがこの本でよかったと思います。カッコよさとは何か、自分の人生哲学を持って生きるという気持ちを忘れてしまっていたとしたら、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

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