傷口から人生。〜メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった〜/小野美由紀
2015/06/09
スペイン巡礼、
ずっと、やってみたいと思ってた。
きっかけは映画「サンジャックへの道」。
「ヨーロッパ版お遍路さん」と言えるそれは、
約800kmの一本道を一ヶ月かけて歩きます。
人生は道によく例えられますが、
日常から遠く離れたこの場所で、この道を歩いていると、
これまでの人生も、これからの人生も、
ぜんぶが「この道」に置き換えられて、
これまで答えを出せなかったことにも、
ちゃんと向き合って答えられるのではないか。
過去も、今も、未来も、人生ぜんぶ棚卸し。
いらないものはポイポイポイッと捨てちゃって、
いるものは綺麗に磨いて日の当たる場所に置き直して……
そうして自分自身からどんな気持ちが発見できるのか、
やってみたい。
そして、小野美由紀さんの、この本。
舞台はスペイン巡礼「カミーノ・デ・サンティアゴ」。
すんごくよかった、のに、
感想が、書けない。なんでだ。
人生がやばい、感受性がすごい、文章がうまい、
など、各界で話題になっていますが、
言葉にできない気持ちを
手で触って感じられるように、
確かな言葉にしてくれている。
ぼくは、そんな風に感じました。
そして、そのための比喩がすごく上手。
「この気持ちは何? なんで私はそう思うの?」
あきらめずにそう問い続けてきた人なんだろうな。
それでもなお、カタチのない“答えのような感覚”を、
たまごを手にとるように、やさしく、ていねいに、
言葉に、文章に、育て上げた感じ。
こうして、
まだ誰も言葉にすることができなかった気持ちを
触って確かめられる文章にすることができると、
同じ気持ちを持っている人を救えるかもしれない。
作家もライターも、
使命としての究極はそこにあると信じたい。
同世代ですごい作家がどんどん出てくる。
すごい、うらやましい、くやしい。
でも、きっとこの本は、
小野さんがブログでコツコツと書き続けていた、
だからこそ生まれた1冊、である気がする。
ぼくがこのブログで書いてる文章も、
いつの日か本になりますように。
神様、仏様、編集者様!
そして、「ひらく、つながる、文章教室」。
なんとご本人様にお会いできて3,000円!
会ってみたい、そう思われる人間に、ぼくもなりたい。