「ON THE TRIP」仲間と会社をはじめました。
2017/05/25
あらゆる旅先を博物館化する。
想像してほしい。
もしも旅先で、あなたのスマホがトラベルガイドになったなら。
知りたいことや気になることを、自国の言葉でより深くできたなら。
文字で、写真で、音声で、五感でもっと楽しめたなら。
その場で、その土地に根付いた物語を「体験」することで、あなたの旅がぐっと深くなる。
ON THE TRIPは、旅の体験をふくらませる。
スマホで、5ヶ国語で、音声で、まるで博物館の音声ガイドのように、あなたの旅をガイドする。それが、「ON THE TRIP」です。アプリなので、スマホにダウンロードする必要があります。
サイトの「about us」にはビジョンを書いています。書いていますと言っても、代表の成瀬さんと一緒に考えたもので、ぼくひとりで書いたもの、というわけでは決してありません。長いですが、ぜひ読んでみてもらえるとうれしいです。
ぼくたちが目指しているのは「ガイドづくり」ではない。少なくとも、ぼくはそう思っている。ここに、ウェブサイトには掲載を見合わせた、もうひとつの「FUTURE」がある。
ON THE TRIPの未来が、ここに到達するかは分からない。ボツ案といえばボツ案だ。しかし、ぼくの頭の中には目指すべき未来のひとつとして今も残っている。
都市と都市をつなぐ。
世界中にタダで行ける世界をつくる。
ぼくたちの旅には「続き」がある。
旅は「ハレ」から「ケ」へと確実に変わってきている。ネットやスマホ、LCCの登場によって、移動する人は確実に増え、暮らすように旅することも、旅するように暮らすことも容易になってきた。今後、移動そのものが日常化し、VRの進化が重なることで、空間のメディア化が起こる。テレビやスマホなどの画面ではなく、飛行機や空港、ホテルなどがメディアとなっていくのだ。
ON THE TRIPは、日本と世界をつなぐメディアでありたいと考えている。ぼくたちは、世界中の旅先のコンテンツを手にした上で、都市と都市をつなぐ。「旅の途中」にあるエアラインやホテルを自社で持ちメディア化する。そして旅先のコンテンツを、より最適なかたちで発信していく。いわゆる広告とは違う情報の最適化によって、移動費や宿泊費を無料化する。
たとえば、飛行機のモニターに映し出されるのは、旅先の物語に満ちたムービーだ。その片手にあるグラスは旅先の伝統工芸品で、そこに注がれるのは旅先の地酒。あるいは、小さなシャンプーを配ってもいいかもしれない。これによってシャンプーを持っていく必要がなくなり、旅の荷物も少なくなる。同様に、ON THE TRIPのホテルに泊まれば、旅に必要なものはすべてそろう。あなたは、ただ、旅に集中すればいいのだ。
ON THE TRIPのツアーガイドで、旅先のコンテキスト=物語を伝えること。そして、ON THE TRIPのエアラインやホテルで、旅を身近に、身軽にすること。そんな未来を実現するまで、ぼくたちもまた旅の途中なのだ。
人生最高のコピーとは?
ぼくは広告会社でコピーライターをしてきたけれど、ネーミングもコピーも「自分の会社」を書いてみなくてはわからないことがたくさんありました。
深夜特急を書いた沢木耕太郎さんがこんなことを言っていた。ルポライターは他人の声を借りて自分を語ろうとする仕事だと。それが職業的になればなるほど、自分を語れなくなっていく、と。
ぼくも、コピーライターとして同じことを考えていた。
自分の原体験に心底基づいたコピーしか、言葉として力を持ちえないのではないか? 自分に体験のない商品のコピーを代理することなんて本当に可能なのか? それが、自分が住んでいたシェアハウスのコピーを書いたり、自分が好きな旅を書きはじめた最大の理由である。
その後、沢木耕太郎さんは自分を「取材する者」として客観的な立場に置くのではなく、自分を「主人公」にして対象と行動をともにすることで、自分と対象を同一化させていった。その到達点が「一瞬の夏」という作品だと言われている。
ぼくが、ON THE TRIPという会社でもなお、コピーライターを名乗り続ける理由はそこにある。ぼくは、自分を主人公にして、自分の会社と行動をともにすることで、自分とコピーを同一化させてみたいのだ。
「コピーは、ぼくだ。」
これは、生粋のコピーライターである秋山晶さんの言葉。秋山さんとぼくはアプローチがまったく違うけれど、ぼくもその到達点にたどり着きたいと思っている。
ON THE TRIP. 旅の途中に、ぼくはいる。