【更新】「留年バックパッカー」noteで連載中!
朝、がらんどうの部屋で目が覚めた。
夢と現実の焦点を合わせられないまま、孤独による不安だけが確かな形を帯びていく。それに抗うように身体を起こすと、背中がカチリと鳴った。そこで現実に焦点が合った。とたんに、さっきまで確かにあったはずの夢は消失する。目覚めはいつだってONとOFF。カチリとすべてが入れ替わる。
―削除シマス―
そして、夢は二度と戻らない。あらためて辺りを見回すと、部屋の片隅に見慣れぬバックパックが所在無さげに佇んでいる。小学校の入学式の前日に見た、壁に掛かったランドセルみたいだ。無垢なほどの真新しさと、何度も入れ替えたせいで、何を入れたかすら分からない中身。どこか自分のものではないような気がしてくる。実感が湧かないのだ。カチリ。今度は首が痛んだ。睡眠時間が短いと、眠った分だけ疲れてしまう気がして、いつも少しだけ後悔する……(つづく)
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【執筆中】留年バックパッカー06