TRAVERING

なぜ旅に出るのか?そこに地球があるからさ。

もう騙されない!悪徳リキシャの見分け方(2日目-2)

      2016/11/23

IMG_5998

「1日100ルピーで観光名所すべてまわってやるぜ?」

騙されてみるのも暇つぶし。というわけで、誘いに乗ってみることにした。ラシールと違って、あきらかに悪い目をしている。どんな手を使ってくるのか、オラ、ワクワクすっぞ!

ひとまず、もう少しマケてくれと頼んだら、観光名所めぐりに加えて、美味しいごはん屋さんにも連れて行ってくれるという。そんなうまい話があるか!と思いながらも、とにかくリキシャに乗ってみる。すると、走り出すと同時にベラベラと話しかけてくる。そうそう、こういうパターンも懐かしい。気を和まそう(油断させよう)と、旅行者の出身地や家族の人数について聞いてくるのだ。サザエさんの家族設定を拝借してテキトーに答えていると、お決まりのセリフが奴の口から飛び出した。

「そうだ!お土産屋に寄って行こう!」

あれだけの大家族ならお土産もたくさん買って帰らなきゃ……って、そうじゃない。いらない、と僕が言えば

「じゃあ100ルピーじゃ無理だ」

走り出してしばらく経ってから言われるのがミソ。街から少し離れてしまった場所で、「ここで降りる」とは言いづらい。これはよくあるパターンなのだが、リキシャは店に連れていくことでマージンがもらえるのだ。こういう手口は、まったくもって進化しないんだなぁと実感。リキシャの人も好きでやってる仕事ではないだろうから、日々改良なんてありえないし、その目に表れているように、悪い顔になっていく。日本でも会社に飼いならされて、好きでもない仕事を続けているサラリーマンは、顔から生気が抜けていく。

それはさておき、今回は暇つぶし。「仕方ないからお土産屋に行こう、ただし一軒だけだぞ」と僕が言えば、嬉々としてリキシャは加速しはじめた。

店の前に着くと、これがまぁ大抵は立派なお店なのだ。怪しげな個人商店というよりはチェーン店のような佇まい。店内にはカシミールティーや木彫りの像、色とりどりのスカーフなどが所狭しと並んでいる。もちろん値札はない。イヤらしいほど営業スマイル全開の店員が、アレもコレもと商品を広げて説明してくる。綺麗に畳んであるスカーフを次々と広げていく様子を前に、せっかく色々見せてもらったし、ひとつぐらい買ってもいいか、と思ったら負けゲームである。適当にいなして、適当に切り上げることにする。

リキシャに戻り、さぁ目的の観光巡りへ行くぞ、とリキシャに告げる。すると、ヤツは再び言うのである。

「もう一軒行こう」

そう来ると思った!という笑いをこらえながらも、一軒だけって言ったよね、そう怒った顔をする。すると、

「じゃぁリキシャはここまでだ、もう走らない」

これがよくある悪徳リキシャのテンプレート。ここから先は何軒行っても、同じやり取りがエンドレスで繰り返される。お土産屋はどこに行っても同じような品揃えで、それがまた飽き飽きするのだけど、たいていの旅行者は途中で嫌気がさしてリキシャを降りる。その際に、「100ルピー払え」とうるさく言われる。払う必要はないはずないのに根負けして払う人もいるだろう。しかし僕はそこまでお人好しではない。「とにかく、今すぐMGロードまで戻れ」と、英語に“fuck”を挟みながらまくし立ててみた。「ファッキン カムバック ファッキン MGロード!」使い方は間違っているだろう。マハトマガンジーはファッキンじゃない。

おまけに「そうすれば100ルピー払ってやる」とまで付け足してやった。それを聞いた悪徳リキシャがしぶしぶ走り出す。MGロードに戻ってきたところで、黙ってリキシャを降りる。振り返りもせず歩き去る。

「100ルピー払え!」

後ろから怒鳴り声が聞こえて来る。さっそうと無視して人通りに紛れ込む。当然だ。時計を見ると1時間30分ぐらいの時間が潰せたが、リキシャを相手にするのはやはり疲れる。ちょうどお店も開きはじめたので、「ハッピーアワーでBIGサイズのビールが300ルピー(600円)」と書いてあるカフェに飛び込んだ。「あの看板のビールください」と頼んでみると、BIGすぎるピッチャーで出てきた。お一人様なのに。写真では伝わりづらいがジョッキも特大である。

IMG_6016
その後、MGロードを歩きつくして、休憩がてらタバコを吸っていると悪徳リキシャマンに再び出くわした。こちらに向かってくるヤツを見て、「まだ100ルピーを請求するつもりか?」と逃げずに立ち向かえてみると、「タバコを1本くれ」というではないか。悪気がないというかなんというか、サッパリしたものである。ふたりで並んで一服していると、根に持たないところがインド人の良さであり、根が悪い人も少ないんだよなぁと思うのだった。

何が言いたいかというと、リキシャに乗るときは、“流しのリキシャ”を捕まえるべきだということ。向こうから話しかけてくるのはもれなく悪徳リキシャ。でも、こちらから話しかけると実にマジメで真摯なインド人ばかり。インド人は悪いヤツばかり、と思っていたとしたら、そこに注意して旅してみると考え方が変わるかも。オススメはしませんが、騙されたと思って騙されてみるのも一興です。

 

つづき↓
インドの結婚事情と日本の婚活ブーム(2日目-3)

 - 手ぶらでインド