ザ・ビーチ
人と違うことがしたくて旅に出たのに、
人と同じ旅をしている自分が嫌になる。
そして、地図に残された幻のビーチに向かって旅をする。たどり着くまでの冒険の高揚感がダニー・ボイルらしい疾走感と最高にマッチして、今すぐにでも!と旅へと掻き立てられる。ビーチに着いてからは、現代のヒッピーコミュニティーの闇の部分が描かれている。
秘境は誰にも教えてはいけない。
すべてがプーケット化してしまうから。
舞台となったピピ島は行ったことがないけれど、東南アジアのリゾートは似たり寄ったりな均質化がひどい。入ったレストランに英語のメニューが置いてあって、フライドライスやシズラーなんかが並んでいたらもうアウト。むこう数件は同じような店ばかりが並んでいるはずで、食べているのも地元民ではなく西洋人ばかり。そんな町が増えていく。
ただ、変わることを憂う旅人にはなりたくないと思った。変化を止める権利もないのだから、どんな変化も楽しんでこそ本当の旅人だ。